2024/01/11 2024/01/12

パリの空の下、バラ色の人生
épisode 6_ 卒業

連載 Ma vie en rose sous le ciel de Paris

TEXT / SUU
ILLUST / MADOKA

そうやって、1年間ESMODでテキスタイルを学んだみどりさんはいよいよ卒業制作に取り掛かります。
卒業制作のデフィレ(ショー)のテーマは、インテリア、ニット、子供など。

デフィレはSTY(スティリスト)、MOD(モデリスト)のクラスと一緒に行い、テキスタイル科の生徒の作品を洋服に仕上げてくれます。
みどりさんたちも、一生懸命にテキスタイル作品をつくりあげます。
みどりさんの作品は、パネル柄に構成した幾何学模様とフルーツ柄。それをSTY(スティリスト)の学生とTシャツに仕立てます。
他にニットの作品があっとことは覚えていますが、実は自分の作品が洋服になっているだけでドキドキ!ワクワク!と舞い上がってしまい、詳しいことは覚えていませんでした。笑。

卒業制作は、いくつかの科に分かれて発表しました。先ずはテキスタイル科とスティリスト科の作品の審査会です。審査会では、ファッションの世界で名の通っているプロの人達が審査します。
そして見事、みどりさんがテキスタイル科卒業制作の審査で1番の成績で賞状を受け取るのでした!スゴイ!!
審査会の次はいよいよショーが行われます!

翌日には表彰式です。スティリスト科の優秀生と一緒に舞台の上に呼ばれます。
舞台に上がるなんて思っていなかったみどりさんは校長先生の前までどうやって行ったのか覚えていないそうです。きっと右手と右足が一緒に出ていたことでしょう。笑

ショーの様子。テキスタイルはみどりさんのデザイン。
柄が映えるシンプルなシルエットのドレス。
カラフルで素敵です

ESMODのテキスタイル科を優秀な成績で卒業したみどりさんは思います。
「パリのアパートも日本のアパートもどちらも狭いのに、パリのアパートでは可愛らしい柄のテキスタイルを使ったインテリアで素敵に暮らしている。日本にも可愛らしい、日本の暮らしに合った柄のテキスタイルがあればいいのになぁ。」と。

そんな思いを胸に抱きながら、もっともっとテキスタイルの勉強をしたいと考えたみどりさんは、研修を経て”スタージュ”と呼ばれるインターンとしてデザイン会社で働きます。
そして働きながら思います。「もっとテキスタイルの勉強をしに、北欧に行きたい!!マリメッコに入りたい!!!」
北欧のテキスタイルといえば!のマリメッコですね。

それには先ず先立つモノが必要です。ホントに。
みどりさんはESMODのショーで制作した作品の写真と、審査の様子を手紙にしたためて、両親にプレゼンします。

両親へ宛てた手紙。熱意たっぷり。

そうして頼み込んでなんとか北欧の学校への留学を認めてもらいました。拍手。
ESMODの先生からも学校を紹介してもらいます。これで北欧の学校が決まればマリメッコに一歩近づきます! が。なんと行きたかった北欧の学校は既に定員いっぱいでした。。。
そうして失意のみどりさんは29歳最後の日、再び日本へ帰ります。。泣

さて、2度にわたりパリで暮らしたみどりさん。改めてパリの感想を聞いてみました。

Q:パリの好きなところ、嫌いなところを教えてください!

A
人それぞれ、気にいる物、好きな事、何故か魅かれる所が違うと思います。
理由を聞かれても、はっきりした理由がない!思い当たらない!!です。
私の「フランス」は、アランドロンを見た時、そして昔友人が歌った「恋は水色」を聞いた時に、すでに心には【フランス】というものがあったように思います。もしかして生前にフランスにいたのかも?細胞に読み込まれたものがあったのかも知れません!

好きなところは、たくさんありますが、まずは一番心が落ち着く場所です。東京にいるより、心が自由になるような気がします。 食べるものもワイン、チーズを始め大好きなものがたくさんあります。(東京でも嫌いなものはありませんが!笑)

嫌いなところは、何でも議論にするところ。何が正しいこと、間違っているかより、ディスカッションが大好きなところ!
私のフランス語の語学力がないだけでしょうか?日本人特有の曖昧な、グレーな状況に置いておけないところ!
私も大人になって、つくづく自分の物事を突き詰めていく性格がフランス人のようで嫌になります。

確かに「好きなところ」に理由はないかも知れません。気がつけばそこにあって、理由は後付ですよね。深い…。

フランスに住んでいる人達はディスカッションが大好きと聞きます。いつも「あなたはどう思うのか?」と。そこには正しいとか間違っているとかはディスカッションするためのキッカケということですか。笑
私は日本人の持つ曖昧な表現は結構好きですが。ただグレーなままの状況が続きがちなのは居心地が良くないですねぇ…。

みどりさんの物語は、もう少し続きます。

MIDORI KOSEKI
小関 みどり / 元 ESMOD JAPON 講師
フランス語に興味を持ちアテネ・フランセで語学を学ぶ。旅行代理店での添乗員をする傍らテキスタイルデザインを習得し、その後渡仏。
パリで、後にESMOD JAPONを設立する仁野 覚氏と出会う。仁野氏と共にESMOD JAPONを設立に尽力。設立後、同校にてテキスタイルデザインの講師として勤務。
現在は自身の人生の軌跡をまとめながら、教え子たちの繋がりを再構築している。
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TEXT:SUU
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