みどりのパリ日記
2023/06/11

パリの空の下、バラ色の人生
épisode 3_ Parisでの夏休み

連載 Ma vie en rose sous le ciel de Paris

TEXT / SUU
ILLUST / MADOKA

無事8日間のパリへの旅を終え、以前にも増してパリへの思いが膨らんだみどりさん。
より深くフランス語の勉強をするため、大学3年生の夏休みにパリのソルボンヌ大学の夏季講習を受講することに。夏季講習の間の宿は、前回のパリ旅行で偶然親切にいしていただいた、Tさんに相談します。

Foyerで過ごす夏休み

そうして勧められた、Tさんのお家のそばの「Foyer / ホワイエ」と呼ばれる寮に寄宿することにしました。
この寮は普段20~30人くらいの外国人学生や研修生、フランスの地方から期間限定で働きに来ている人が暮らしていましたが、夏休みの間は9月からの新学期に向けて実家に帰ったり旅に出たりと空いており、ソルボンヌ大学などの夏季講習生を受け入れています。
夏季講習の間はここで色々な国から集まった5人で住みます。

その部屋は、それまで東京の実家から出たことがなかったみどりさんの初めての城。世界中から集まった国際色豊かな人たちとの暮らしが始まります。
城の大きさは6畳弱。入口を入ってすぐ左に手洗い場があり、洗顔と歯磨きはここで行います。飲み物を飲んだ後のコップを洗うのもここ。(台所がありましたが、台所まで行くのが面倒だったのでもっぱらここで済ませていました。)シングルベッドと幅90cmほどの洋服ダンスと勉強机。机の上に卓上ライト。本当にシンプルで、スッキリとした部屋でした。
大きな観音開きになる窓があり、中庭が見えます。優雅な眺めですが、この大きな窓は硬くて開けにくいのなんのって…。

部屋の他には同じフロアーに共同で使う台所。ここには冷蔵庫があります。
小さく区切られたボックス型の冷蔵庫で、大きさは、お風呂屋さんの靴入れの倍位の小ささ。ここには溶けそうなバターやチーズやヨーグルトを入れます。それと食器や台所用品を入れるボックス。冷蔵庫とボックスにはちゃんと鍵が付いています。
他にはシャワーとテレビ室。それから自動販売機が置いてある部屋もあります。(試しに数回買ってみましたが、高くて美味しくなかった…)
そこには色々な国の生活習慣があり、料理があり、それぞれの国の価値観があり、そして色んな匂いもありました…。

文化の違いに戸惑いながらも充実した夏休み

みどりさんは日本で経験したことのない「民族」の違いを目の当たりにします。
生活での大きな違いは衛生面に対する違い。

まず部屋が土足。これは分かっていましたがやはり不衛生に感じ、どうしても馴染めません。自分の部屋は入り口にマットを敷いて「土禁」にします。
ある学生は買ってきたフランスパンを床に置いといて、食事の時みどりさんに「よかったら食べる?」と。この悪意のないおもてなしは丁重にお断りします。
また別の学生は友人を呼んで、大きなお皿の上に炊飯器で炊いたおこげの付いたご飯を広げ、上にお野菜のシチューの様なソースをかけて食べている。
これはとても美味しそうだなぁと見ていたら「日本人もお米食べるんでしょ?」「よかったら一緒に食べない?」とのお誘い。でも彼女がトイレに行っても手を洗わないことを知っていたみどりさん。この悪意のないおもてなしも丁重にお断りします。

そんな民族間の文化の違いに戸惑うこともありましたが、ソルボンヌ大学での2ヶ月半は、クラスの友人とバスで小旅行に行ったり、ちょっといいレストラン(でも、リーズナブル!)に食事に行ったりと、パリで学生らしい暮らしを満喫したのでした。

左:クラスメイトのイラン人女性と
右:バルビゾンにて

初めての8日間の旅は、ただ緊張して街を歩くだけで終わってしまいましたが、この夏季講習で初めてパリの空気を感じることができたみどりさん。
中でも印象的だったのはマルシェで買うお野菜と、果物、チーズにミルクにヨーグルト。そして生クリームにバター!最高です!!パンはバゲット、クロワッサン、パン・オ・ショコラなど、どれもこれも最高!!さすが本場です。

次はケーキにチャレンジ!でも高いケーキは買えなかったのでパン屋さんに売っているケーキを買いますが、このケーキは甘過ぎて甘過ぎて…これは日本の方が美味しいと感じたそうです。

それから、お肉。牛の赤身肉に塩胡椒して焼いてマスタードを付けながら頂くと安いお肉でも美味しく頂けます。付け合わせは、冷凍のジャガイモフリットをフライパンで焼き、水煮缶詰のミニキャロットやインゲン、ほうれん草を美味しいバターで炒めて塩胡椒で十分!
生野菜は残念ながら一人なので、サラダや料理で使いきれずにいたので缶詰が活躍しました。この野菜の水煮缶はどうして日本に無いのか不思議。

市場では、フランス語が不自由なことで悔しい思いもしましたが…ここで負けないみどりさん。「絶対、フランス語上手くなってやる~!」と決意を新たにしたのでした!

このパリでの特別な夏を終えて日本に帰ってくると自分で思っていた以上にフランス語が喋れるようになっています。
フランス人の先生に「君!フランス人みたいに喋れるようになったね!」と褒められ、「ちょっと私、ソルボンヌで頑張ったんだもんねぇ~♪」と心の中で得意げに胸を張るみどりさんでした♪

MIDORI KOSEKI
小関 みどり / 元 ESMOD JAPON 講師
フランス語に興味を持ちアテネ・フランセで語学を学ぶ。旅行代理店での添乗員をする傍らテキスタイルデザインを習得し、その後渡仏。
パリで、後にESMOD JAPONを設立する仁野 覚氏と出会う。仁野氏と共にESMOD JAPONを設立に尽力。設立後、同校にてテキスタイルデザインの講師として勤務。
現在は自身の人生の軌跡をまとめながら、教え子たちの繋がりを再構築している。
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TEXT:SUU
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