2024/08/27

着込んで馴染んだ、あの感じ。
ニドム(NIDOM)加工

TEXT / SUU
PHOTO / MADOKA

『Soliloquy』のコットンパンツの生地は、オーガニックコットンを使っています。
この生地は、国際基準策定機関によってオーガニック認証を受けたオーガニックコットンを原料にして紡績された糸て織られている生地。
その原料のコットンはトルコで栽培され、トルコで紡績(繊維をつむいで糸にすること)されています。
その糸を日本に持ってきて、織って、染めて、裁断して、縫って、一本のパンツになる。長い旅です。

そしてニドム加工(ニドム バイオ加工)の話。
このままの工程で作ると、製品が“シャン”としています。これはこれで生地に“ハリ”があって、きちんとした雰囲気があります。そして穿き込んでエイジングが進むと、いい感じに”クタッ”てなってくるのを楽しめます。何度か洗うとステッチの“パッカリング”もでてくるので、いわゆる「経年変化」を楽しむにはこれでいいのです。

ものによってはハリのある生地が良いなと思うのですが、基本的に私は“クタッ”としたパンツが好きなんです。着常時のストレスが少ないもの。
(ジーンズに関しては『RESOLUTE』をやっているので、一生懸命履いて柔らかくするしかありません(笑)。それはそれで、楽しみもあります。)
ですが私が作る『Soliloquy』のコットンパンツは、最初から“クタッ”としたUSEDのチノパンのそれを目指したい。何度も穿き込んで馴染んでいった、あの心地よい感じ。

何か方法がないかと探したところ行き着いたのが「ニドム(ニドムバイオ)」という加工を施した生地です。
この加工を施したコットンチノクロスはまさに“クタッ”としている(笑)。手触りもUSEDのように程よく“ヌメリ”も出ていて、私の理想的なコットン素材。

この「ニドム加工」を施す『Soliloquy』のコットンチノパンツは最初から“クタッ”とした落ち感があり、“ヌメリ”もあります。足を通した時の肌触りは、まさにUSEDのチノパン。

そもそも「ニドム加工」というのは手間がかかっているのです。
この加工は、USEDの風合いを生地の段階で作りましょうと言うもの。本来は製品を穿いて、時間をかけて行うエイジングを、最初から生地に施していると思っていただいて良いです。

ニドム加工機とう機械を使って、生地を水中に泳がせて繊維を膨らませ、生地がリラックスした状態で揉んだり叩いたりして、天然繊維の特性であるハリコシ感や摩擦による毛羽を作ります。その毛羽やハリコシ感を、分解酵素(セルラーゼ酵素)と言う物質で均一にコントロールします。
この生地の独特なパウダータッチや滑らかな“ヌメリ”のある表面感はこうやって作り出されています。

本来、ニドム加工機はイギリスのコートルズ社により開発された精製セルロース繊維「テンセル」の専用加工機として日本で開発されたもの。この加工をコットンなどの天然繊維に施す技術が確立され、様々な生地に施されるようになりました。
ただ高度なノウハウや、手間・時間のかかる加工。日本でとても希少な工場で、細々と作られます。

『Soliloquy』のコットンパンツは、この手間のかかる加工を施した生地を使い作られます。そしてさらに製品で洗い加工を行うことにより、ステッチのパッカリングも現れます。
ニドム加工と、製品洗いでまるでUSEDのコットンパンツのような、柔らかで履いた時にストレスのない製品になります。

そうやって作っている『Soliloquy』のコットンパンツは、結構手間のかかる「普通」のコットンパンツなのです。

[ Soliloquy ] Organic Cotton Compact Yarn Chino Cloth Pants
(¥26,000 +税)

定番の「Organic Cotton Compact Yarn Chino Cloth Pants」は、コンパクトヤーンという糸の表面の毛羽を伏せて製造された綿糸を使用しています。とても毛羽が少なく、美しい光沢を放つ生地。それにニドム加工を施し、さらに滑らかな穿き心地となっています。

そしてこの秋、チノパンツに加え、ワークパンツも登場します。ただいま、生地にニドム加工を施している最中です。そこから職人さんに縫製をお願いします。私自身、仕上がりが待ち遠しい一本です。

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TEXT:SUU
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