時代に合ったベーシックが揃うセレクトショップ
代官山「float GALLERY」
TEXT / SUU
PHOTO / MADOKA
東京の恵比寿駅から駒沢通りを中目黒方面に10分ほど歩いた辺り、槍ヶ崎の交差点に『float GALLERY』はあります。ここは『Soliloquy』や『RESOLUTE』も扱う、メンズがメインのセレクトショップです。
オーナーは濱島利匡氏。この場所で19年、来年は20周年となる老舗です。
このお店の商品選びの基本はベーシック。そしてベーシックな装いにさりげないアクセントとなるアイテムをセレクト。
「顧客さんもベーシック好きが多いのですが、普段は手に取らないタイプの服でも、ここにあることで新たな発見をしてもらえるような服を提案しています。」と濱島さん。
そして何よりもオーナーの濱島さん自身の心に響く服が並んでいます。
場所柄、顧客さんだけでなく一見さんも多いお店。なので初めての方も是非、気軽に訪れてみることをお勧めします。聞き上手な濱島さん、ついお喋りしすぎてしまいます(いつもすみません)。
凝り性かつ、幅広い知見をもつ濱島さん
彼のファッションの原点は学生時代にさかのぼります。当時は「DRIES VAN NOTEN」や「YOJI YAMAMOTO」を好み、かなりのお金をそれに費やしていたそうです(笑)。
その後上京し、大手アパレル企業のメンズブランドで販売を経験。
そのような経験から、オーセンティック系からクリエーター系の服まで幅広く造詣が深い濱島さん。ショップに並ぶ商品も、ジャンルにこだわらないベーシックなアイテムがセレクトされています。
自然と様々なテイストのお客さんが集まり、それぞれが自由に、新しい発見を楽しめる。加えて濱島さんのお人柄。それが『float GALLERY』が長く愛されている理由ではないでしょうか。
そんな幅広いファッションを受け入れ、マイペースな雰囲気の濱島さんですが、実は凝り性。趣味もハマると突き詰めるタイプなのだとか。
友人の誘いで始めたヨガも友人よりハマり、コーヒーを淹れる腕前もプロ並み。(本当に美味しかったです!)
また食べ歩きが好きで、これもジャンルにこだわらず様々な国の料理を楽しんでいるようです。代官山~恵比寿界隈のお勧め店を聞いてみるのも良いかもしれません。
ゆっくりと時代に沿うお店
2005年創業、来年20周年を迎える『float GALLERY』ですが、長い年月にはやはり紆余曲折あったそうです。
一番最初は3年目、2008年に起きたリーマンショック。次は2011年の東日本大震災、そして2020年に始まった新型コロナのパンデミック。
コロナ禍は代官山も閑散としていましたが、濱島さんはその間も、開けられる日はお店を開けていたそうです。「何年かに一度は大きな出来事があるので、慣れてきました」とあくまでマイペース。
コロナ禍により人はいろんなことを考えさせられ、色々なことに変化をもたらしました。それによって方向性を変えたブランド、お店も少なくありません。
私自身もブランドをはじめるなど、大きく変化がありました。
が、濱島さんは、コロナ禍を経ても『float GALLERY』の方向性を変えることはなかったと言います。
取り扱っているブランドの考えが変化したり、新しい価値観をもったブランドが出てきたことにより、自然とセレクト商品に変化を感じることもあるかもしれませんが、「基本は何も変わっていない」と話します。
『float GALLERY』は長年変わらないようで、濱島さんの感じる時代感を映しながら、ゆっくり、ゆる~く時代に沿う。そんなお店です。
セレクトショップ『float GALLERY』オーナー。
名古屋市出身。大手アパレル企業のメンズブランドでの販売員を経て、『float GALLERY』の前身のお店に勤務。その後お店を引き継ぎ、2005年『float GALLERY』をオープン。
時代に合ったベーシックなセレクトに定評があり、丁寧な接客とフランクな人柄にファンも多い。
ちなみに、昨今の物価高騰でどのブランドも価格が上がっていることで、お客さんの購買行動に変化はあるかと尋ねたところ、「欲しいと思った商品は高くても買っている方が多いと感じます。ただ、ついでにこれも、といった無駄な買い方をするお客さんは減ったかな」とのこと。なるほど。
「本来ファッションは無駄なものなんですけどね。」と笑います。確かに…。
店舗情報
- float GALLERY
- 東京都渋谷区恵比寿西1-36-6
- 03-3780-0480
- https://float-store.com