手塚治虫「ブッダ」
2019/09/17

大人がもう一度読みたい漫画
手塚治虫『ブッダ』

誰もが知っている漫画の神様、手塚治虫。
代表作のひとつ『ブッダ』は、仏教の開祖である釈迦(ブッダ)の生涯を手塚独自の解釈とキャラクターを加えて描かれた超大作。連載終了から30年以上経った今でも、根強く支持されている名作です。題字もカッコイイ。

講談社 手塚治虫文庫全集『ブッダ』 電子書籍版

初めて読んだのは私が小学生の高学年頃、幼馴染の家で。
しかし当時の私にはまだ早かったようで「お釈迦さんはゴータマ・シッダルタというのね」ということを覚えた程度の印象しか残っていなかった(あとアッサジも覚えてたかな)。

あれから何年、何十年。小さなきっかけが重なり、電子版『ブッダ』を大人買い。(スティーブ・ジョブスや、『聖⭐︎お兄さん』もそのひとつ。笑。)夢中になって読んでしまいました。以来、手元に置いておきたい漫画のひとつとなりました。

子供の頃に読んだきり、または読んだことないけれど興味はある…という方は是非読んでみてください。
史実とは違うオリジナル部分が多く、その点で批判もあるようですが、仏教の考え方はとても伝わってくるように思います。

子供に「障碍(ラーフラ)」と名付けてしまうなんて、なかなかロックなシッダルタ。(電子版『ブッダ』より)

ブッダの教え

生きとし生けるものすべてが平等に、命を持ち、いつかなくなる。身分の違いはもちろん、人間だけでなく動物や植物も、生きることや病、老い、死の苦しみに出会う。自分だけが苦しいわけではない。

ブッダは言います。「お金を持っている人は苦しんでいる人にあたえ、ちからのある人は苦しんでいる人をささえてやりなさい。よぶんなお金もちからもない人は…せめて相手の気持ちをくみとって、かわいそうに…と同情してあげなさい」
そしてこうも。「…人が心の苦しみからのがれるには、八つの道を選べばよい……正しい見かた、正しい思い、正しいことば、正しい行ない、正しい生活、正しい努力、正しい判断、そして正しい考え方である」

しみじみと響く言葉です。いけない、ちょっと心が荒んでたかな、と気付くこともあるかもしれない。
しかし困ったことに、悪い行いや俗っぽいことは面白かったり、時には美しく色っぽかったり、そして楽だったりすることを知ってしまっています。
当然ながら、なかなか教え通りの行いは難しいでことです。悟りを開いた後のブッダも、悪魔のささやきに苦しんだりしています。あのブッダでさえ、簡単なことでは無いということなんですよね…。

旅立つ前の凛々しいブッダと、悟りを開いた後のブッダ。なんて慈悲深いお顔…。さすが手塚治虫さん。(電子版『ブッダ』より) いきいきとした動物の描写なども素晴らしい。

仏教入門編としてもオススメ

私を含め、現代の日本人は宗教観が希薄で、なんとなく神社に行ったり、お寺にお墓があったりしますが、親などから宗教の教えなどを聞かされた経験のある方はそう多くはないように思います。
個人的な話になりますが、私の父の親族はキリスト教徒です。祖父母や親戚の法事などはキリスト教式で行なっていましたが、父親はほぼ無神論者という感じです。世界の宗教観と日本人の宗教観の違いや、その争いについてなどは聞かされた覚えはあるものの、それぞれの教えについてなどは語られた記憶がありません。母についても同じく。願い事があったとしても、神様にも仏様にもお祈りをしたことはありませんでした。
我が家ほど極端ではないにしても、子供の頃に宗教に触れる機会といえば冠婚葬祭程度だったという人も少なくないのではないでしょうか。

ですがグローバル化の進む昨今、宗教について考えさせられることも増えました。そして現代社会においての生き辛さや心の病にも、改めて宗教の教えが注目されています。
まずは多くの日本人にとって身近な宗教である仏教に触れるきかっけとして、手塚治虫の『ブッダ』はオススメです。

文庫サイズの『ブッダ』(全12巻セット)
電子書籍版『ブッダ』手塚治虫文庫全集 (1)

先ほども少し触れましたが、史実とは違う部分も多いのでその辺りを詳しく知りたい方は別の本をお探しください。
※長編なので寝不足にご注意ください。

まんが「ブッダ」に学ぶ穏やかな働き方

ちなみに、本屋さんでこんな本を見かけたので、漫画の復習をしてみようと思わず買ってしまいました(笑)。
「働き方」に注目した点が興味深く、要点をまとめてくれているのでお時間のない方には良いかもしれません。漫画を読んだことない方はどう感じるのでしょう?
結局漫画を読みたくなるような…。

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